水底火山噴出物の宝庫
忍路半島(忍路湾・竜ヶ岬)のハイアロクラスタイト
「忍路(おしょろ)高島 及びもないが せめて歌棄(うたすつ) 磯谷まで」と江差追分に歌われた忍路は,積丹半島の東にあり,日本海に小さく突き出た半島である.カニの鋏のような形をしており忍路湾は天然の良港である.
この忍路半島は水中火山岩の産状がよく観察できる場所である.半島の主体は枕状溶岩を含むハイアロクラスタイト(水冷破砕岩)で,忍路漁港の突き当たりの崖に広く露出している.このハイアロクラスタイトの年代は6.6Ma(Ma=百万年前)である.対岸の北大臨海実験所の北側の崖には二次堆積性の火砕岩類が見られる.
漁港手前の道路の海側にある立岩は塊状安山岩で方状節理が発達しているが部分的に節理に沿って急冷しているのが見られる.
忍路半島には給源岩脈群があり,北西−南東方向のものは12.6Ma,北東−南西方向のものは9.0Maの年代を示す.
また,漁港突き当たりの右側の道を行くと,竜ヶ岬の突端にいけるが,ここでも同様のハイアロクラスタイトを見ることが出来る.
所在地
小樽市 忍路
参考文献
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