第三紀以降の蛇紋岩のテクトニクス
沙流川沿いの蛇紋岩/堆積岩テクトニックコンタクト
沙流川の右岸沿いで沙流川蛇紋岩体(この中央に岩内岳かんらん岩体が存在)と周囲の古第三系沙流川層(あるいは蝦夷層群?)黒色泥岩とのテクトニックな接触関係が観察できる.下盤側が塊状のハルツバージャイト(斜方輝石かんらん岩)質蛇紋岩で泥岩との間約50cmは葉片化し,断層面に沿っては“粘土化”した部分があり塊状蛇紋岩の礫を含むが,角礫ではなく円礫状を呈する.断層面は走向N19゜E・傾斜28゜Wであり,断層面上の掻痕は北東-南西方向を示す.黒色泥岩は蛇紋岩との接触部から幅50~60cmにわたって(蛇紋岩化作用が起こっていた時期にCa交代作用をうけたと考える)白色~灰色にロジン岩化している.ロジン岩化していない部分は石英・曹長石・緑泥石・絹雲母・方沸石・Fe-Ti酸化鉱物などから構成される.一方ロジン岩化した部分は灰ばんざくろ石・透輝石・緑泥石・ベスブ石の集合体となっている.新第三紀以降の蛇紋岩のテクトニクスを考えるうえで興味深い露頭である.
所在地
平取町 岩知志(新日東)
参考文献
加藤孝幸(1978):地球科学,32,273-279.
Katoh,T. and Niida,K.(1993):Jour. Fac. Sci. Hokkaido Univ.,ser.Ⅳ,20,151-169.
植田勇人ほか(1994):日本地質学会 第101年学術大会見学旅行案内書,161-174.