海岸に露出する日高山脈
ルーラン岩礁
日高山脈が海に没するところ襟裳岬には,実は山脈の中核をなす日高深成・変成岩類が分布していない(0400「えりも岬の古第三系」参照).それらは,えりも町庶野の南,ルーラン~千平(ちびら)の海岸に岩礁として露出している.これが日高変成岩類の露出の南限である.北海道の地殻深部の唯一の海岸露出として貴重な場所である.
岩礁の中で観察が容易な部分(写真1)は,位置的には千平岩礁と呼ぶのが適切であろうが,伝統的に『ルーラン岩礁』と呼ばれている.
ルーラン岩礁に露出するのは,日高変成帯主帯上部層に属する黒雲母片麻岩(写真2)と不均質トーナル岩(写真3)である.トーナル岩は片麻岩中にシート状に貫入しそれを捕獲しているが,両者の境界は不規則で(写真2),場所によっては漸移的(ミグマタイト様)に見えるところもある.黒雲母片麻岩中には紅柱石の斑状変晶が含まれる.
所在地
えりも町 千平
参考文献
鈴木守・在田一則・新井田清信,1974,三石-えりも岬-広尾地質案内,日本地質学会北海道支部,31p.
M.Komatsu,H. Shibakusa,S.Miyashita,H.Ishizuka,Y.Osanai and M.Sakakibara,1992,Subduction and collision related high and low P/T metamorphic belts in Hokkaido. 29th IGC Field Trip Guide Book,Gel. Surv. Japan,5,1-61.
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