白亜の露頭
乙部町館の岬周辺の海蝕崖には,ほぼ水平な互層からなる地層が見事に露出している.この露頭のそばには,乙部町教育委員会が設置した説明看板もあり,それには“白亜の崖”という名前が使われている.おそらくドーバー海峡のチョークの露頭をイメージしたものであろう.
この露頭を構成する地層は主に新第三系鮮新統の館層である.館層は,砂岩・珪藻質シルト岩・礫岩の互層よりなる.シルト岩には著しい生物擾乱が認められる.礫岩層は黒色を呈し,その構造から重力流堆積物と考えられる.この互層中に厚さ数mのスランプ体が見られる場合もあり,全体として斜面堆積物であると考えられる.
なおこの白亜の露頭は,姫川河口をはさんで対岸の乙部漁港から遠望することができる.『地層の頁(ページ)』を思わせるこの露頭は,地層システムの典型的な様相を我々に示してくれる.
所在地
乙部町 館の岬
リンク
参考文献
角 靖夫・垣見俊弘・水野篤行,1970,5万分の1地質図幅『江差』および同説明書.北海道開発庁,53 p.
石田正夫・垣見俊弘・平山次郎・秦 光男,1975,地域地質研究報告(5万分の1地質図幅)『館地域の地質』.地質調査所,52 p.