新ひだか町シュンベツ川上流
中エゾ地変の露頭
蝦夷層群は,北海道を代表する地層の一つであり,北海道の地質研究の黎明期からさまざまな研究が行われてきた.しかしそれにもかかわらず,その層序や構造発達については,いまだに不明な点が多い.たとえば“中エゾ地変”は,蝦夷層群の中の不整合を作った構造運動として古くから認識されてきたものであるが,その真偽についても各説がある.
この露頭は,小山内・松下(1960)などによって報告されたもので,“中部蝦夷層群”基底部に存在する不整合の代表的なものとして,蝦夷層群の研究史上,貴重な露頭である.川村ほか(1999)によってその再検討・再確認が行われている.弱変成を受けた緑色岩体上に,“中部蝦夷層群”のシルト岩・砂岩互層が不整合に載っている.その最下部は斜交層理を示す含円礫砂岩で,貝殻片を多く含み,浅海性の堆積物と考えられる.これが不整合であることは,1950-60年代の研究で指摘されたとおりである.
なお,この地域の基底礫岩からは,青色角閃石を含む変成岩礫も発見されている.このことは,高圧型変成作用を受けた付加体深部が蝦夷層群堆積場に上昇して陸化したことを示している.
所在地
新ひだか町 春別川上流崩れ沢
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参考文献
小山内 煕・松下勝秀,1960,日高山脈西縁の白亜系,Ⅱ-右左府,額平川,新冠川・宿主別川,イドンナップ川,アブカサンベ川,高見,三石・鳧舞川地域の白亜系の層序.地下資源調査所報告,24, 19-37.
川村信人・植田勇人・鳴島 勤,1999,前弧海盆堆積物中の不整合とスランプ体-中部蝦夷層群基底部の層位学的現象-.地質学論集,No.52, 37-52.